インドと聞いてヒンディー語を思い浮かべる人もおおいのではないでしょうか。インドでは国の公用語として第1言語がヒンディー語、第2言語がヒンディー語になっています。インド人は普段何語を話しているのか。どんな言葉がヒンディー語として使われているのか。インド人とどうしたらコミュニケーションをとることができるのか。

今回はインドの言語事情に迫ります。

インドの言語っていくつあるの?

言語州という考え方

インドは連邦制をとっており、公用語を指す時には連邦レベルでの公用語と州レベルの公用語の二つに分けて考えなければいけません。インドの連邦レベルでの公用語はヒンディー語と英語の2つ。州レベルでは22の指定言語があります。インドは28の州と7つの連邦直轄地域で統治されており、それぞれの州や地域がそれぞれの公用語を採用しているのです。

日本で言うと大阪弁が公用語になっていると考えるとわかりやすいのではないでしょうか。公用語以外の方言も含めるとインドには2000もの方言があると言われています。こうした状況で地域の異なる人々とコミュニケーションをとるのは非常に難しいのではないでしょうか。

インドの話者数ランキング

順位 言語名 話者人口 全人口に対する割合
1位 ヒンディー語 5億5,146万人 約53.6%
2位 ベンガル語 9,112万人 約8.9%
3位 テルグ語 7,400万人 約8.3%
4位 マラーティー語 8,499万人 約8.2%
5位 タミル語 8,418万人 約6.5%

参考データ:Most Widely Spoken Languages In India

5位以下には、ウルドゥー語やグジャラート語、パンジャーブ語などが続きます。見てお分かりの通り、最も話されているヒンディー語でさえ、インド人全体の約53.6%しか話せません。よくインドは「インド国」と例えれるように、1つの国の中に複数の国が点在し、多文化・多言語の国であることがわかります。

インドの英語話者

インド人の英語話者数は約1億2534万人いると言われていて、全人口の約12%ほどしかいません。しかし、インドの中流家庭以上で育ったインド人は小さいころから英語教育を受けており、大学を卒業しているようなインド人やビジネスパーソンはほぼ100%で流暢な英語を話します。

一方で、英語を話せない人が多いのも事実であり、インドの教育格差の背景が垣間見えます。

インド英語とヒンディー語の歴史

イギリスが1600年頃に入って来た時にはまだキリスト教が教会で教えられる程度で、英語の使用が強制されることはありませんでした。18世紀初頭になって英語が徐々に使用されるようになり、公の場で話されるようになりました。

独立後は言語の統一の問題が挙がりました。もともと英語ではなくヒンディー語を国語として定めるはずでした。しかし、Tamil Nadu 州でヒンディー語の公用語化に対する抗議運動が1963年に起きたことによって、国論は二分されました。当時9億人もの人口を抱えるインドで、多様な言語が存在するインドの言葉を統一することは簡単なことではなかったのです。ヒンディー語を使う民族が優遇されることを懸念してあのガンジーのスピーチも英語で行われました。

日本語の中にあるヒンディー語

日本語になっている外来語としてヒンディー語があるのをご存知ですか?実はなじみ深い外来語がヒンディー語だったりします。日本語になっているヒンディー語を紹介します。

バンガロー

Devanagari-New-Normal

語源:bangla
意味:ベンガル地方の

バンガローはもともと「ベンガル地方の」という意味のヒンディー語が英語になって「ベンガル地方風の家」という意味に転じてできた言葉でした。英語のbungalowの辞書的な意味では低層で比較的小規模な、主に宿泊施設として用いられる家屋の様式を指す言葉として使われています。平屋造りで大きなベランダがあるのが特徴です。

日本でバンガローといえばこぎれいな山小屋を思い浮かべるのではないでしょうか。ちなみに日本で一般に指すバンガローは英語でいうとhutになります。

ではベンガル地方の家はどうなっているのか。使われている材料は木と竹とKharと呼ばれるわら。バンガローの屋根は木ではなくて元々わらだったのです。ベンガル地方の田舎では今でも人気にある住居の様式です。

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インド/日本/欧米

シャンプー

シャンプー

語源:champoo
意味:押す、筋肉などを揉む

シャンプーは実はヒンドゥー語です。もともとの意味は「頭部のマッサージ」、現在では頭髪を洗う液体を頭髪を洗うことを指していますが、もともとの意味とは完全に異なっているのです。18世紀に英領インドからイギリスにシャンプーが伝わって洗髪という意味に変わっていったのです。当時はイギリス人が頭を洗う際にインド人である召使に対して「頭をこすってくれ」と言っていたことが洗髪という意味に変わった一つの理由のようです。

ちなみにインドの伝統的なシャンプーの方法としてハーブシャンプーというものがあります。ハーブシャンプーをする目的は頭皮のマッサージです。ハーブ液を乾いた髪につけ、頭皮をマッサージした後に髪の毛に伸ばしてお湯で流します。頭皮の血流をよくするという意味でも効果が高いのだとか。トリートメン効果もあり、ハーブシャンプーの後は髪の毛がつやつやになるのだそう。植民地時代のイギリス人の髪の毛はさらさらだったのかもしれませんね。

ジャングル

ジャングル

語源:jangal
意味:荒れ地、雑木や藪が密生した場所

「ジャングル」と聞くと熱帯地域に鬱蒼と茂った密林を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。英語の辞書的な意味ではその通りで、熱帯の高温多雨地にある密林を指します。ヒンディー語であるjangalの語源はサンスクリット語であるjangraです。jangraの意味は「乾燥」「砂漠」という意味でした。密林と砂漠。現代の意味するジャングルと昔のジャングルでは完全に意味が正反対なのです。なぜ意味の逆転が起きてしまったのか。

大きな要因としては19世紀のイギリスの植民地時代にJangalが英語として導入された時に意味が少しずつ変わって来たようです。当時イギリスは自分たちの征服した国々で生活する人々のことをjungle peopleなど、人種差別的な呼び方をしていたことも関係しているようです。ジャングルという言葉は「未開の」というネガティブな意味でつかわれることが多かったのかも知れません。

今でも外来語でコンクリートジャングルという日本語があります。高層ビルが林立し、ほとんどスペースに余裕がなく、人びとでひしめき合う不快な場所という意味です。今は都市開発が進み、密林の数も減ってきています。もしかしたらコンクリートジャングルはいずれ密林をもともとの意味での「ジャングル」にしてしまうのかもしれません。

カレー

カレー

語源:kari
意味:野菜や肉をスパイスで味付けしたソース

*カレーはヒンディー語由来ではなくタミル語です。タミル語のkariからきているという説が有力ですが、カレーの起源についてはいまだによくわかっていません。世界で最も古い食べ物の一つかもしれないとも言われています。4000年前に人間がカレーを食べていたという証拠もでてきています。

日本語にもある意外なヒンディー語。少しでもインドを身近に感じていただけたのではないでしょうか。


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